黒瀬と話した日から一週間後、家に帰ると、いつも仕事でいないはずのママがもう家に帰ってきていた。
「ママ?!早いね!おかえり!」
ダイニングテーブルの椅子に座ったママの正面に私もちょこんと座る。
「あ、莉子…ただいま」
すごく落ち込んでいるように見えたママ。
仕事…忙しいのかな…?
「ど、どうしたの?元気ない。仕事疲れた?」
パパが亡くなって、それからずっと女手一つで私を育ててくれたママ。
そりゃ休みたくなることだってあるに決まってる。
「ママごめんね?私のために毎日働いて…疲れてるよね?今日は私がご飯作るよ?」
「え。それは大丈夫!!大丈夫、元気!!」
私の一言でママがすっと立ち上がった。
「私のご飯食べたくないからって…」
「そ、そんなことないよ〜」
どんなに娘思いのママでも、私の作る料理は我慢してでも食べたくないみたい。
「…実はね」
ママはまたゆっくり椅子に座り出すと静かに話し出した。