自分の家に戻ってから一週間がたった。

でも、まだ黒瀬に気持ちを伝えられていない。

私は教室の端でクラスの男子と話す黒瀬を見つめる。

徐々にクラスから受け入れられつつある黒瀬は私からみるとなんだか楽しそう。

休み時間は大体囲まれてる。


私と同居していた時よりもずっと楽しそう。

って…。

なに、考えてんのよ。


黒瀬に笑顔が戻ったこと、嬉しいはずなのに。

寂しい。

「莉子、最近しょっちゅう黒瀬のこと見てるよね」

「もしかして、マコトくんと別れたのってあいつが原因?! 」

!!!


「はっ、ちょ、なに言ってんのユキ!そんなことあるわけ…!はははっ」


突然、優子とユキに話しかけられて動揺を必死で隠すように笑う。


「…莉子が言いたくないならいいけど、話したくなったらいつでもうちらに話してね。マコトくんのことなのかわかんないけど、そんな顔ばっかりしてる理由話してほしいな」

「これでも莉子の友達してるから、相談くらいしてね!」

「2人とも…」


2人はニコッと優しい笑顔で笑う。

ずっと勘違いしてた。

2人は信用できないって。

でも、違ったのかも。

黒瀬みたいに、私も私の方が彼女たちのこと、信用できないって決めつけてきたかも。


ごめんね、優子。ユキ。


「うん、ありがとう」

私は2人に小さくそう言った。