「麻友、本当にありがとう!!すっごく助かったわ」
玄関の前でママが麻友さんにそうお礼を言う。
別荘から帰ってきて一週間、ママが3ヶ月の出張から帰ってきた。
「莉子ちゃんすっごくいい子だから、こっちの方が助かったわ!正直、帰したくないな」
麻友さんが目に涙をためてそう言う。
「麻友さん…」
「もー!またいつでも遊びに来るから!ね、莉子!」
ママが明るい声が玄関に響く。
「はい!掃除とか買い物とか、いつでも頼んでください!」
「ちょっと〜莉子ちゃん。まるで私が莉子ちゃんのことこき使ってたみたいじゃな〜い!」
「え、いや、そんなつもりじゃ…」
「フフフフッ、冗談よ。ありがとう。いつでも遊びにいらっしゃい。葵も楽しみにしてると思うから」
黒瀬。
「そういえば、葵くんは?」
「それが莉子ちゃんが帰るのが相当寂しいみたいで、さっき出かけて行っちゃったの」
「あら〜残念。会いたかったのに」
「別にいいよ〜ママ会っても余計なことしか言わないし」
「なにその言い方〜〜」
ママはそう言って頬を膨らませる。