夏の日差しが強くなってきた7月。

俺は新しい季節の訪れに
心をわくわくさせていた。

山田 遼 27歳 教師歴3年の英語教師だ。
今年から山上高校に赴任してきた。
名前の通り山の上にあるせいか年中涼しくて立地は悪いが以前勤務していたところよりも快適だ。

「さてと……」

今日も授業が立て込んでいる。
教科書など諸々の道具を持ち、
山田は職員室を出た。
一時限目は3-6。
俺は密かに朝から楽しみだった。
3-6は他のクラスとは少し違う。
いい意味で異質というか…
個性豊かな生徒が多く、女クラスなだけに反抗するような生徒もおらず授業も進みやすく楽しいクラスであった。

ガラッ

教室のドアを開けるとすぐに
星野美琴が視界に飛びこんできた。

「おはよーございまーす!!!」

「あはははっ!今日も元気だなぁ!」

「せんせー、早く授業しましよーよ!」

「わかったわかった笑」

星野美琴はとても明るい女子生徒、
学級委員を務めている頑張り屋な生徒だ。
少し慌てすぎるのが玉にキズだが…

チャイムと同時に授業が始まる。
熱心に聞いてくれる生徒たちを
俺はとても気に入っていた。
しかし、俺は本当の気持ちをまだ自分自身でも気がついてなんかいなかったんだ。