ズボンの裾を膝下まで折った白い足が、水の中へ入る。
颯はこっちを向いて、手を目一杯に広げて、思いきり笑った。
「理央の素直な目で見て。今、俺はどんな風に見えてる?」
気づけば夜空には、星が出ていた。
辺りはもう真っ暗で、色彩なんて少しも残っていない。
それなのに私には、彼と彼がいる風景が、とても色濃く、深い彩りをして見えた。
………からだが、ふるえる。
寒さなんてもう、感じなかった。だけど粟立った肌が、背筋が、ぞくぞくとした。
見開いた私の目に、彼の笑顔と黒の景色が、満点の星と共に映る。
風がひとつ吹いて、私の髪を揺らした。
私はそのとき確かに、筆を持ちたいと思ったんだ。