「………なんでそう思うの?」
「自分以外の誰かに、自分の人生決められたくないじゃん。俺がいいって思ったものはいいし、俺が大事だって思ったものが世界一大事」
その言葉はとても自己中心的に聞こえるけれど、颯の堂々とした声で聞くと、なんだか当然のことのようにも思えた。
私だってそう思う。
私が好きなものを、誰かに否定されたくない。思うのは自由だ。
だけどだからって、それを他人に理解してもらうのは難しい。
「………颯の言ってることはわかるけど……狭い世界に閉じこもってるのは、あんまりいいとは思えない」
他の人の意見に耳を傾けるのも、大事なことだと思う。
颯は、彼をまっすぐに見つめる私を見て、ふ、と目を細めた。
「……うん。まあ、そうだよな。ぜんぶ納得してくんなくてもいいよ。ただ、でっかいもの意識しすぎて、理央が大切にしてるもの、見失わないでほしいって言いたかっただけ」
………私が、大切にしてるもの?