得体の知れない『大きなもの』の存在を感じる度、私は動けなくなった。
『それ』があまりに大きすぎて、自分がやっていることなんか、全て無駄なんじゃないかと思えたからだ。
「確かに、寂しいとは、思うけど……」
「けど?」
「……ちょっと傲慢だと思う。自分が生きてるのが地球だからって、その地球を中心に周りの惑星が回ってるなんて」
私は展覧会で、そのことを知った。
今までの私は、なんて傲慢だったのだろうと。
自分が好きだと思うものが、他の人にとってはそうでないのと同じように、『よく出来た』と思えた私の絵も、他の人にはそう思えなかった。
当たり前だ。
世界の中心は私じゃない。
そこには、恐ろしいほど大きなものが居座っている。
颯は私の言葉に、一瞬ポカンとした顔をして、それから心底面白いというように笑い始めた。
「………なんで笑うの」
「はは。いやぁ、理央、ネガティブになってんなーと思って」
「………………」
そうかもしれないけど、だからって、そんなに笑わなくてもいいじゃないか。