私の言葉に、颯は苦笑いする。



「まあ、そうなんだけどさ。俺はこっちのが好き。なんか寂しくね?宇宙なんか広すぎるよ。でかい銀河系のちっさい惑星のひとつに自分が住んでるって考えても、全然想像できない」



………確かに、そうかもしれない。


太陽はいつも空の上にあるけれど、あまりに遠くて遠くて、その存在は実感しづらい。


銀河系、なんていうのも、実物なんてこの目で見た訳じゃないし、まるで他人事のように考えている。


自分が生きているこの地球も、銀河系に属しているというのに。


この地球が太陽を中心に回っている、なんて言われても、私達はそれを肌に感じることすらできないんだ。



「………それがどうしたの」



私が眉を寄せて見上げると、颯は面白そうに笑った。



「太陽は確かにすげーし、宇宙も何億光年も前に生まれて、俺なんかよりずっと立派だってわかってるけどさ。実際に見たこともない『大きなもの』を中心に動かなきゃならないって、なんか嫌じゃない?」



彼の話に、私はすぐに納得できなかった。


そんな根本的な問題を、良いとか嫌とか、そんな概念で考えたことがなかったからだ。