「いろんな学校の先生に講評をもらった。『上手いね』って何度も言われた。描く力はあるって。でも……それだけじゃダメなんだとも、言われた」



『これじゃ、目立たないわよ』

『色が弱い。他に負けてる』

『ただ上手いだけじゃなあ…………』



言われたことは理解できた。


ただ、すぐには噛み砕いて飲み込めなかった。


私はこれらの言葉を、自分の絵にどう反映させればいいのだろう?



「どうしていいかわかんなくて、賞をとった絵を見に行ったんだ。それで………」



じわ、と視界が何かで覆われて、歪んだ。


……泣きたくない。こんなことで泣くような、弱いやつになりたくない。


颯は黙っている。彼は何も言わず、私の話の続きを促している。ぎゅう、と固く目を閉じた。


目尻から一筋だけ、涙がこぼれた。



「ああ、敵わないって思った。こんなの私には描けないって。これを『良い作品』っていうなら、私には一生描けないって」



どうしたらこんなもの描けるんだろう。


これが才能というのなら、これほど残酷なものはないと思った。人の心を動かす、絶対的な才能だ。