思わず眉を寄せた私を見て、彼は慌てた。「あ、いや、はじめてっていうか」と何やら弁解を始める。


と思ったら、足もとを滑らせて、バランスを崩した。

………あ。



「うわっ」


ばしゃーん。激しい飛沫を立てて、颯が水の中で尻もちをついた。


「……………」


ぐっしょりとズボンを濡らして、彼は呆然としている。私もびっくりして、しばらく私たちの間に沈黙が落ちた。


やがて颯がハッとした顔をして、叫んだ。



「つっめてー!!」



うわー!と叫びながら、勢いよく立ち上がる。手や顎からポタポタと雫を滴らせて、今度は「冷たい」と騒ぎ始めた。


その様子があまりに間抜けで、私は思わずプッと噴き出してしまった。