私はダメな人間だ。
本当に橋倉くんはすごい。
彼にとっては私なんか、ちっぽけな存在だろう。
そんな奴にやっかまれたって、きっと彼は気にしない。
彼に比べたら、私が見ている世界なんてよほど小さいのだろうと思った。
私には、橋倉くんがまぶしくて仕方ない。
腕を回しているとわかるけれど、彼の腰はとても細かった。
背が高いわけではないし、身体も鍛えているようには見えない。男子にしては、華奢な方だと思う。
だけど私には、この背中がとても広く見えた。
頼もしい、とは少し違う。当たり前のことだけれど、ああ男子なんだな、と思った。
なんとなく彼の背中にそっと頭を寄せて、目を閉じる。橋倉くんは気づいているのかいないのか、何も言わなかった。