「…………………」



手のひらの上で、筆が転がった。それをじっと見つめる。


……感じ悪いな、私。


橋倉くんの前で、どうして私はいい顔ができないんだろう。



その場に落ちた沈黙を破ったのは、橋倉くんだった。



「………なあ、中野さん。今からさぁ、海行かね?」



え……?


顔をあげて彼を見る。橋倉くんは、やっぱり真剣な顔をしていた。


「………なんで?」

「俺が行きたいから」

「なら友達と行きなよ」

「中野さんは友達じゃないの?」



友達?

友達なのか、私たちは。いつ友達になったんだ。