私は、次のページを開いた。
七ページ目は、白紙。だけど六ページ目の裏に、短い文章が書かれていた。
『颯のからだがよくなって、一緒に行けたらいいね』
ーーあ。
「お母さん!!」
私は部屋を飛び出した。
階段を駆け下りて、リビングのドアを勢いよく開ける。
お母さんは驚いた顔で私を見た。
「どうしたの」
「お、おじいちゃんが入院してたとき!私、毎日病院に通ってたよね!?」
「え?ああ、そうだったわねぇ……」
おじいちゃんが胃腸炎で入院したのは、私が中学一年生の夏休みだった。
当時、家族で一度見舞いに行ってからも、その後私はひとりで毎日病院に通った。
おじいちゃんは夏休みが終わる頃には退院して、学校も始まったけれど、私は病院に行くのをやめなかった。
「それがなんでだったか、覚えてる?」
「えーと……あら、なんでだったかしら」
お母さんはうーんと頭を悩ませた。本当に覚えていなさそうな様子に、もどかしくなる。