ただ、橋倉くんに見られてどう思われるのかが、怖かった。
普段、あんなにも大きな世界を動かす彼に、私なんかの絵はどう見えるのか、知るのが怖かった。
「……ああ。グラウンドか」
だけど橋倉くんは、私の予想に反して、やさしい顔で絵を見ていた。
ふ、と笑って、目を細める。
その表情がいつも見かける彼の笑顔とは違っていて、私は驚いた。
そんな顔、するんだ。
「絵、すげー上手いね。うらやましー」
そして目線を上げて、ニカ、と笑いかけられる。だけど私は、笑顔を返せなかった。
………羨ましい、なんて。
そんなこと、思ってないくせに。
「………上手く、ない。こんなの」
唇を噛んで、下を向いた。彼の手にある画板。まだシャーペンだけのその絵を見て、ぎゅっと手のひらを握りしめた。
上手くない。こんなの。
私の絵なんか、上手くない。