今までだってそうだった。


あの駄菓子屋だって、私の大好きな場所だ。良さはたくさん知っていたのに。


私の技量では伝えられなかった。ダメだと言われた。目立たせることができなかった。


どうすればいいのか、もうわからない。


手を加えれば加えるほど、悪くなっていく。



拭ったはずの涙が、あふれて止まらなくなった。


情けなく泣くことしかできない私に、颯が落ち着いた声で話しかける。



「………理央。一回、描くのやめた方がいいよ。さっきは落ちつかないって言ってたけど、このまま描き続けてもたぶんいいもの描けないよ」

「でも、これじゃダメなんだよ。こんなんじゃ、誰も見てくれない。考えなきゃ、答えは見つかんない」



涙を拭いながら、首を振る。


あれからもう、半年経った。だけど私は何も変わってない。


怖い。このまま答えが見つからないままだったらどうしよう。


涙が止まらない私を見て、颯が悲しそうな顔をした。


そしてやっぱり穏やかな声で、言った。




「理央は、それ描いてて、楽しい?」




え………。


顔をあげると、射抜くような颯の視線とぶつかった。