色んな言葉が頭の中を回る。
どれを信じればいいんだろう。誰の言葉にすがればいいんだろう。
ああ、ダメだ。
もうぜんぶ、ぐちゃぐちゃだ………!
「理央!」
すぐそばで名前を呼ばれて、ハッとした。
歪んだ視界で、颯が心配そうに私を見ている。
「………颯」
「いったん落ち着いた方がいいよ。ほら、筆置いて」
颯はずっと、私を見ていてくれたのか。
いつのまにか出ていた涙を拭いながら、言われた通り筆を机に置いた。
ハッキリとした視界に映った目の前の絵は、ひどいものだった。
塗り方が違うせいで雰囲気が部分によって異なっていて、バランスが悪い。
色もちゃんと馴染んでいない。綺麗な色が出ていない。
「………………」
呆然とした。
どうしてこうなってしまうんだろう。どうして綺麗に描けないんだろう。
何が正しいのかわからない。私はちゃんと、この空間の良さを知っているはずなのに、それをしっかり表すことができない。