『これじゃ、目立たないわよ』
『色が弱い。他に負けてる』
『ただ上手いだけじゃなあ…………』
展覧会で言われた言葉の数々が、また頭をよぎる。
やっぱり私、あれからまったく成長してない。何も変わってない。
淡いテイストから抜け出せなくて、色を置くことを躊躇っている。
だけどこれじゃダメだ。目立たない。
目立たなきゃ、見てもらえない。伝わるものも伝わらない。
筆を動かす速度が、どんどん落ちていく。
………湯浅先生も古田先輩も、私を『上手い』って言ってくれたけれど。
それだけじゃダメなんだって、私はもう知っている。
先輩が羨ましかった。
あんなにも強い意思を持って、迷いなく作品をつくることができる先輩が、羨ましかった。
才能がほしい。こんな風に迷わないくらい、確固たる意思を持って、描けるような。
もうあんな思いはしたくない。
たくさんの作品の中、埋もれた自分の絵の前で、立ち尽くしたあのときを思い出す。
才能の中に埋もれたくない。
だけどどうやったら人に見てもらえるのか、わからない。