涙がこぼれないよう、俯いてぎゅっと目を閉じる。 「……そうかな。そんな風に言ってもらえるほど、私、すごくないと思うけど」 「すごいよ。羨ましいくらいカッコいいよ、お前」 「………ありがとう」 頑張りたいと思った。 颯の言葉に違えない、私でいたい。 私には人を惹き付ける才能なんかないけど、諦めたくない。 必死に泣くのを我慢していたけれど、無理だった。 颯に笑われながら、涙をぬぐう。 優しい帰り道だった。