「理央は自分に才能なんかないって言ってたけど、あるよ。限界まで努力したから、理央は今あんなに上手く描けるんだろ」
颯の言葉に、泣きたくなった。
あきらめないこと。
それは、私が唯一できることだったから。
特別いいセンスなんか持ってない。人を圧倒するような才能があるわけでもない。
そんな私にできたのは、ひたむきに努力し続けることだけだった。
人物も物体も建物も、たくさん描いてきた。
形だけでも、自分が思い描く通りの絵が描けるようになったのなんて、つい最近だ。
だけど努力じゃどうしようもない壁にぶつかって、私は今迷っている。
再び自信を失った私の心に、颯の言葉は強く響いた。