「………真面目だなあ、理央は」
美術室のドアに鍵をかけていると、後ろからそんな感想が聞こえてきた。
ムッとして、鍵をかけるとすぐに振り返った。
何か言い返してやろうと思って口を開いて、……颯の顔を見て、思わず口を閉じた。
「やっぱすげーよ、お前。マジでカッコいい」
笑っていた。
その言葉は私を褒めるものだったけれど、その笑顔は自嘲しているようにも見えた。
「……………」
「ごめんな。さっき『好きなように描けばいいのに』って言ったの、馬鹿馬鹿しい話だったな」
「………いや………」
颯は笑っている。
だけど、笑いたくて笑っているときの顔と、そうじゃないときの顔くらい、私はもうわかるから。
どうしてそんな風に笑うのかわからず、首を振る。私がずっと悩んでいるから、彼はああ言ってくれたんだ。
馬鹿馬鹿しくなんかない。普通はそう思ってもおかしくないんだ。
