その声にハッとして、目の前の絵だけを映していた視界が開けていく。
辺りはもう暗くなり始めていた。
「…………え、暗っ」
完全に目を覚ましたのか、颯が空を見上げて、目を見開いた。
私と目が合うと、さらに驚いた顔をする。
「今何時?」
「え……わかんない。六時くらい……?」
「ずっと描いてたの?」
「う……うん」
「どんだけ集中してんだよ!」
彼は身体を起こすと、ため息をついた。
………なんで怒られたんだ。集中してたのに。
「もう暗いし、帰ろーぜ」
颯が呆れた顔をして言った。
確かに、こんなに暗いとこれ以上作業を続けるのは無理そうだ。
そんな当然のことを今さら気づいて、自分のことなのにどれだけ没頭していたのだろうかと考えた。
絵を置いて、片付け始める。颯はそれをちらりと見てから、片付けを手伝ってくれた。
「………そんなに集中してたってことは、いいやつ描けたの?」
片付け終わって、立ち上がったとき、颯がふいに尋ねてきた。
そこですんなりと頷くことができればよかったけれど、私は首を横に振った。