噂のせいか、私といちゃついていると誤解した男子が、颯に紙くずを投げてくる。颯はそれを避けながら、「だから彼女じゃねーよ」と言っていた。
「うるせー。どっからどー見てもいちゃついてるようにしか見えねーんだよ」
「あーあー、ひがみか」
颯がやれやれという風に肩をすくめる。男子はムカッとした顔をして、「ひがみじゃねー!」と叫んだ。
仲がいいのはいいけれど、私を巻き込むのはやめてほしいと心底思った。
ひとしきり言い合ってから、男子たちは戻っていった。颯もため息をついて座り直す。
「ごめんな理央、うるさくて」
「別にいいけど………一緒に遊ばなくていいの?」
聞くと、颯は首をかしげた。
「誰と?」
「だから、さっきの男子たちと。最近私のところによく来てくれるけど、大丈夫なの?」
あんなに仲が良いんだ。私といるより、彼らといる方が颯も楽しいと思う。
別に卑屈になってるわけじゃない。純粋に心配しているだけだ。
彼らとの思い出は普段の生活でつくれると言っていたけれど、放課後の時間ってすごく貴重だし。
私といることで、本来彼らとつくるべき思い出がつくれずに終わったら、申し訳ないなと思った。