光が輝けば輝くほど、影は濃くなる。


颯がみんなに好かれれば好かれるほど、一緒にいる私は妬まれる。


颯は悪くない。だけど腹が立つ。


前もそうだった。まだ他の生徒がたくさんいる放課後に、彼は私に声をかけた。


無邪気な笑顔して。私に怒れなくして。


颯はいい意味でも悪い意味でも、純粋だ。人がいい。綺麗で、透明で、優しい。


自分が太陽であることにも気づかずに、周りを照らしている。そして影をつくる。


そんな颯が羨ましくて、同時にムカついた。



涙はそれ以上溢れなかったけれど、私の心にぽたぽたと、水溜まりができていった。







放課後、いつものように美術室へ行くと、先輩の姿はなかった。


あとで来るのか、今日はもう来ないのか、わからないけれど。


もし颯が来たとしたら、ふたりきりになってしまう。


昨日の今日で、どんな顔をして会えばいいのだろう。