私は右手を動かしながら、心が暖かくなるのを感じた。
ああ、いいな。
やさしい空間だ。
ひだまりのように暖かく、淡く、やさしい。
下地は黄色とオレンジ。水を多く含ませて、にじませる。
見たらきっと、元気になるような。ここに来て、彼らと一緒に笑いあいたくなるような、そんな絵にしよう。
*
「じゃあな、理央と颯!」
「バイバーイ!」
約一時間後、子供たちは機嫌よく駄菓子屋を去っていった。
「おー、気をつけて帰ろよー」
颯が大きく手を振って見送る。私も軽く手を振って、小さな背中たちが見えなくなるのを待った。
「はー……。小学生って、元気だな」
少しして、颯が苦笑いしながらため息をついた。彼はほぼずっとしゃべりっぱなしだったし、疲れたのだろう。