どこにでもある、ソーダ味の安いやつだ。でも颯は嬉しそうに口に含んでは、「美味い」と言って笑った。
アイスを食べながら外のベンチに座っていると、すっかり颯になついた子供たちがまた颯を囲み始めた。
「なあなあにーちゃん、ここさぁ」
「オレのも見て!これ!これ!」
ゲーム画面を指差しながら、彼らは必死に颯に話しかけている。
颯はやっぱり優しく笑って、ひとりずつ丁寧に答えてあげていた。
隣でそれを見ていると、ふいに子供のひとりに話しかけられた。
「なーなー、理央」
「なに?」
「あのにーちゃん、名前なんていうの」
教えてなかったのか。
こんなになつかれてるのに……と隣の彼に呆れながら、「ソウ」と答えた。
「『ソウ』?」
「うん」
「ソウ……へー、かっけえ名前!」
男の子は瞳を輝かせる。確かにあまり聞かないし、響きも爽やかな名前だと私も思う。