「ごめんな。こんな辛気臭いこと話して」

「そんなこと...ないよっ...」

「優しいな」

「え?」

「人のために泣けるって優しいな」

「そんなことない」

「俺なんかずっと涙流してねぇな...」

自分を嘲笑うかのように笑った

「成瀬、お母さんは“いきなさい”って言ったんだよね?」

「あぁ」

「それってさ、男から逃げての“行きなさい”と、真奈美さんと“生きなさい”の二つの意味があっまと思うんだ。」

こんなこと私が言えるような立場じゃないのはわかってる

でも達也が消えてしまいそうで怖かったんだ

言わなきゃ後悔する気がしたんだ

「そうだと...いいな」