男はじりじりと母親に近づいた

「貴方に殺されるくらいならこっちから死ぬわっ!!!」

突然母親は叫んだ

「真奈美(まなみ・ねーちゃん)達也、あなた達は逃げなさい!!!」

「真奈美、達也のこと頼んだわよ。お父さんもお母さんもあなた達のこと愛してるわ」

母親は俺達に笑いかけると同時に男が母親を突き飛ばした

その瞬間母親は男の手をつかみ一緒に海へと飛んだ

「いきなさい!!!」

母親はそれだけ叫んで俺達の前から消えた

それからねーちゃんは俺の手を引いて走った

ずっとずっと走り続けた

足場の悪い所で何回も転んだ

だけど痛さなんかわからなくてひたすら走り続けた

それからのことはよく覚えてない