ポツリポツリとあなたは話し始めた

「まだ俺が小学生の頃大切な人を失ったんだ。」

自分で言うのもなんだけど、俺の家族は優しくて暖かくてすごく良い家族だったと思う。

ある日、父親が休暇をとって海に家族で出かけたんだ

空一面雲一つ無い青空で砂浜はキラキラしてて海も太陽の光を反射して綺麗だった

そこの海には崖があって、そこで夕焼けを見ようってなったんだ

崖の上は思ったより高くて少し怖かったけどわくわくしてた

太陽がだんだんと沈み始めてきた頃後ろから声が聞こえたんだ

「こんなところに獲物が...」

低い小さな声だった

だけど静かに海の音に耳を済ましていた俺達には聞こえた

振り返った時には男が父親を海へと突き飛ばしたんだ

俺はその場に動けずにいた

突然のことに幼い俺は状況が把握しきれなかった

「ふはははは...あははははは!!!」

父親を突き飛ばしたやつは豪快に笑ってた

それから男は舐めまわすように俺達を見てから言った

「次はお前だ」

母親を見て言った

「っ...」

母親は男を見ながら恐怖と父親を突き飛ばされた憎しみをたたえていた