無我夢中で走った



「千夏!!!」

部屋は人の焦りの声で溢れていた

医者に囲まれている千夏は酸素マスクをつけていて焦点が定まっていなかった

「たつやくん...?」

震えた声に呼ばれた

「千夏のお母さん...。」

「千夏がね...急に様態が悪化して...」

震える声で現実を受け止められない瞳で俺に伝えた

「どうしよう...千夏がっ...どうしよう...」

医療のことについてあまり知らない人でもわかるほど千夏は危ない状況だということがわかる

俺だって現実を受け止められない

「千夏!!!千夏っ!!!」

現に今、俺は千夏の名前を呼ぶことしか出来ない