そういうことなんだ。

洋祐先生には手を出すなということが言いたいんだ。

友紀奈先生のあんな怖い笑顔、初めて見た。

それだけ私を警戒しているということなんだろうけど……

あの時、洋祐先生の手を握り返さなくて良かった。

もし洋祐先生とそうなっていたら、次は友紀奈先生とのことで悩むことになっていた。

―――けど、どうして私のライバルは赤が好きなんだろう。
赤いラインのジャージとか、赤い傘とか……
こうなったら、真っ赤なジャージでも買って対向してやろうか……

教室で一人作業を始めたけど、やっぱり頭の中から高木先輩の影が消えることはない。

あ、バッグを職員室に忘れた。
その方がいっか、携帯が気になって作業がはかどらないし……

しばらくすると、おやつを食べ終えた土曜の預かり保育の子供たちが外で遊び始めた。
何気なくその様子を見ていると、自然に立ち上がっていた。

「ななせんせいー」

外に出ると子供たちが駆け寄ってくれる。

「ななせんせい。あそぼー」
「ななせんせい。みてて」
「せんせい。みて。なわとび、できるようになったよ」

何人かの年中組の子たちが縄跳びを練習していた。

「上手になったね」

少し楽しくなってきたっていうのに、

「奈々先生。今日は休みなんだから、いいですよ」

友紀奈先生が笑顔で話しかけてくる。