「君の家庭事情は少しは知っている
でも、すべてを知っている訳では無い
君が……教師を嫌いな理由も分からない…


俺はフツーの家に生まれてフツーに過ごしてきたから…
教師になりたいと思って生きていた
何が間違っていて、何があっているかなんてそんなのは分からない……

でも、俺に出来る事は出来る限りしたい
教師に話すと思うんじゃなくて赤の他人に相談に乗ってもらう感覚で話すとか?


…………って、どうかな???」



照れたように笑う柴を愛子は眉間にシワを寄せて見た



「どうして、先生はそんなに私に構うんですか??」



そう聞くと柴は笑顔のままで



「なんか、妹に……
似てんだ……


って、失礼だな
悪い」



そう言った
愛子は柴の顔をジッと見てから苦笑しながら



「私の話を聞きたいなら、先生の話を聞かせてください
私だけが喋るのは納得いかないですから」



冗談で口にすると柴は笑いながら



「そーだな
別に話してもいいけど、面白いもんじゃないぞ?」



訝しげに言われて愛子はいつもの笑顔で



「いーですよ
じゃ、今日の放課後またここに来ますね
今はご飯食べたいから
愛梨も待ってるし

じゃ、またね先生」