愛子は笑顔で泣きながら、生まれて初めて、声を荒らげて叫んだ
「ムラのバカ!
沢山の人を救うんでも、たった1人、私を選んで欲しかった!
こうやって、皆私の手から無くなるんだ!
全部!全部!!
ムラが私を家に連れてきてくれた時!
どんなに嬉しかったか知らないでしょ!
ずっと傍に居てくれるって、そう思って…
私は…一人部屋よりも、学校で沢山友達が出来ることよりも、新しいランドセルを背負うことよりも、可愛い洋服を買ってもらうよりも、テストで100点とることよりも……
ムラが居てくれる方がずっと嬉しいの!!!!
ムラがいなかったら何にも知らないただのバカで親のいない可哀想な子のままだったの!
だからムラがいなくちゃやだ!やだよ!やだ!
…………でも…ムラがしたい事を出来ないのもやだ……
ムラがいなくても、もう明日からは泣かないから、
好き嫌いだってしない、我儘だって言わない、だからね…
だから、
帰ってきたら、一番に、一番にね
愛子の所に来て欲しい…」
言い終わってすぐに小さな愛子はムラに覆われてしまった
力の限り抱きしめながら、泣きながら
「あぁ、あぁ!
分かった…
一番に会いに行く
約束は守るから…
帰ってきたら、沢山我儘を言っていいから
ありがとう
大好きだ、愛しているよ愛子……
俺の可愛いこの世でただ1人の娘…
いい子に待っていて…」
そう言った
愛子もそれを聞いて微笑みながら
「うん!
とゃんと待っている…
ムラが…パパが帰ってくるまで、パパ以上に愛する人なんて出来ないから…
早く…帰ってきてね?」
そう2人は抱き合いながらただただ泣いていた…