その夜は誠と駿河の腕の中で泣きながら寝た
次の日から愛子はムラにべったりとくっつくようになった
そして、ムラが施設に用がなくなり、明日帰るというお昼
「ムラ、」
愛子が呼ぶと荷造りをしていた手を止めムラは笑顔で振り向いた
すると愛子は
「いとも一緒に行く!」
と、真剣な顔で言った
するとムラは素っ頓狂な声を上げてから
「い、い、愛子、
俺と一緒に行くってことは、ここから離れるってことだぞ??
分かってるのか??
パパ達にバイバイするんだぞ??
いいのか?
あんなに嫌がってたのに??」
と、慌てた様子で早口に言った
それでも愛子は落ち着いて
「うん!
分かってる
パパな、ここ出る時は大好きな人と一緒にって言っとった
いとな、ムラが大好き
いろいろな話、聞かせてくれてね、文字や言葉も、日本やない場所のことも教えてくれたやん?
まだ全然わからへんけど、
せやから、ムラと一緒がええの」
と、ゆっくりとちゃんと言葉にした愛子を見て
「愛子!
お前は今日から俺の娘だ
俺の事をパパと呼べ」
と、真剣な顔で言った
すると愛子はきっぱりと
「やだ!」
と答えた
ムラはガクッと落ちてから笑顔で
「じゃあ、連れていくのはダメだ
お前と一緒にいれる理由は俺が愛子を養子にする以外ない
だが、パパとは呼ばないのだろう?
それでは親子ではない
だからダメだ」
と、言ったムラに対して涙目で
「やだ!
だって、だって、パパはもうおるやん!
ムラは愛子のお兄ちゃんや!
パパとちゃう!」
そう言い部屋を出た