あたしには悲しい過去しかない。
 
楽しそうに笑って通り過ぎる親子やカップル。
 
何が楽しいのかあたしには理解出来ない。

何が楽しいの?

楽しい事なんて、何1つないじゃない。

あたしは小さい頃、母親に虐待をされ続けた。

怖くて。

怖くて。

でも逆らえないあたしは、殴られ続けた。

蹴られ続けた。

『アンタなんか産まなければ良かった!』

これが母親の口癖。

母親は優しい人だった。

虐待を始めた原因は、夫との離婚。

あたしの父親は、5歳下のキャバ嬢と結婚。

今は子供が2人でき、幸せに暮らしているらしい。

あたしはと言うと、今は叔母の家で暮らしている。

とは言っても、家に帰る事は少なく、ほとんど友達の家に寝泊まりしている。

叔母は放任で、あたしが帰らなくても、心配なんかしない。

あたしは誰にも必要とされてない。

そう言われているような気がした。

あたしの名前は保科 亜佳李。17歳。

高1の時に中退し、それ以来遊び呆けている。