見てしまった離婚届。それも、茜の父親の署名入りの離婚届を。それにはまだ母親の美佐の名前は書かれていなかった。


 ポツンと光一の名前だけが目立っていた。


 
「優也さん?ご飯食べよう?」


 リビングのソファーに寝そべっていた優也は離婚届が頭から離れずそればかりに気を取られなにも手付かずにいた。

 優也はこれまでどんなに遅くまで残業しても自宅ソファーに寝そべって身動きひとつしないことはなかった。

 余程のことがない限り学校へ迎えに行っては茜と帰宅し、茜と一緒に夕飯の準備をする。一緒に食事を済ませた後は茜と一緒に後片付けもする。

 何をするにしても茜との時間を大切に思ってきた優也だったが離婚届を見た後から少し様子が変わっていた。

 しかし、何も知らない茜は体調を崩したのだろうかと優也の元気のなさを心配していた。


「え?もう、そんな時間?!」


 ソファーから飛び起きた優也は急いでキッチンへと向かった。茜の前ではいつもの様に振る舞わなければと思いながらもつい考え事をしてしまっていた。

 茜に変に疑われでもしたら困ると、優也は平静を装うが心の中は乱されっぱなしで上手くコントロール出来ずにいた。

 キッチンへ行った優也は既にご飯の用意が出来ていることに気付いた。