ホームセンターでモフモフクッションを二個購入した茜はその足で実家へと行くと言い張った。直ぐにでも美佐へ届けたかったのだ。
車を実家へ走らせると実家では見かけない車が一台停まっていた。駐車場には両親の車も停められていることからお客様の訪問かと茜と優也は顔を見合わせた。
「来客中なら遠慮しよう。」
「届けるだけだから、ちょっと待ってて。私急いでこれを渡してくるから!」
優也が止めるのも聞かずに茜はホームセンターで買ったクッションの入った袋を持って車を飛び出して行った。
相変わらずの茜の元気良さに笑みを溢す優也。少し外の空気でも吸おうかと車から降りるとポケットから煙草を取り出した。
「子どもだな・・・・」
ポツリとそう言い乍ら煙草の煙を吐き出しては頭を数回掻いていた。車にもたれ掛かり客人と思われる人の車を眺めていた優也は、誰の車だろうかと窓から中を覗きこんでいた。
車内には不用心にもビジネスバッグが置かれていた。優也はいつもの癖でドアに手を入れ込むとガチャッとドアが開いてしまった。
他人の車を勝手に物色しては後々面倒だと思ったものの、ついビジネスバッグに紙の様なものが中途半端に出ているのに気付いた。
ドアを開けて用紙を確認すると、それは離婚届の用紙だった。慌ててその紙をバッグから引き出して中身を確認すると離婚届に茜の父親の光一の名前が書かれていた。