ホームセンターへ茜を連れて行くのは危険だと感じた優也はそれ以来ホームセンターへは近寄らない事にしていた。だから、店の前を通り過ぎる時に「ここに寄って!」と、何度懇願されても絶対に通り過ぎる様に決めていた。


「酷い! 今言ったでしょ! このお店のモフモフをもう一セット買うの!! 早く車を戻してよ!」


 茜の癇癪振りは会長と良く似ていると頷いていた優也は、どうやら茜には逆らえない様な気がしてきた。


「お母さんへの感謝の気持ちはあのモフモフクッションに決めたわ!」

「手料理を食べさせるんじゃなかったのか?!」

「無理そうだから止めたの。出来ない事に必死になるより、早く見切りつけたが良いでしょう? それに、あんな下手な料理を食べさせたら余計に新婚生活を心配させちゃうから。」


 茜の言い分ももっともだと思った優也は言い返す言葉が見つからなかった。確かに、下手な料理を食べさせれば心配かけるのは当然のこと。それよりは、茜も優也も気に入っているあのモフモフクッションの方が喜ばれるだろう。

 そうと決まればホームセンターの駐車場へと向かうことになる。茜の見切りの速さに何となく会長を思い出した優也は少々憂鬱気分だった。