「分かった? これ以上私達の事に首を突っ込まないでよ!」
孫の茜には勝てない様で最後には茜の言い分が通った様だ。
優也は茜の顔色ばかりを窺って会長との話しあいの結果をかなり気にしていた。
携帯電話の電源を切ると茜は大きく溜息を吐いた。優也が茜の顔を覗きこんでいると、茜はにっこり笑って優也にVサインをして見せた。
「え? V?」
「新婚旅行は私達に任せるって」
茜のその一言を聞いてホッとしたものの、会長が望んでいるハネムーンベビーまでは覆らなかっただろうと優也の心は穏やかではなかった。
「楽しい旅行にしましょう!」
茜の笑顔は可愛いが敵に回せば会長と同じく怖い相手の様に感じてしまった。
親子なのに美佐と茜は随分性格が違うのだと感じてしまった。
「なに? どうしたの?」
「いや、君とお母さんは随分性格が違うんだね。お母さんはおっとりした雰囲気があるよね?」
「うん、お祖母ちゃんがそんな人で大人しい人だったって。だから、お母さんはお祖母ちゃん似で私はお祖父ちゃんに似たみたい。」
「そうみたいだね。」
「お母さんにもお父さんにも似なかったけど、お祖父ちゃんは喜んでいたわ。」
そんな茜に期待をしたい会長の気持ちもなんとなく理解出来た優也だった。