学校の校門前までやって来ると路肩へ車を停めた。



「帰りも迎えに来るからね」

「でも、時間が」

「大丈夫、ここで待っているから。」



 校門前は車の送迎用に広めのスペースを取られている。だから、登下校時間になると車が混みあう。


 茜は今日からは優也の運転で送迎が始まるが、あまり嬉しいとは思えなかった。



「行っておいで」

「行ってきます」


 まるで父親に見送られている様な気分だ。せっかく昨夜から良い雰囲気になれたと感じた茜だったが、優しく感じた優也がどこまで本当の姿を見せているのか分からなくなった。


 優也は見送った後、会社へと向かったがその会社では会長が優也を待っていた。


 優也が勤務する商品開発課へと向かうと秘書が優也の出勤に合わせるかのようにやって来た。会長秘書は優也を見ると深々と頭を下げながら朝の挨拶を交わした。



「おはようございます。会長がお待ちです。直ぐに一緒に来て頂けますか?」

「分かりました。少々お待ちください。」



 優也は開発課の社員達に仕事の説明をし取り急ぎ行う作業についてを簡単に指示していた。その指示を終えると廊下で待っていた秘書について会長室へと向かった。