茜の困惑する顔を見て想像通りの反応だと少し笑みを見せた優也。もっと、茜を困らせようか?と、会長の言葉を茜に突きつけてみるか?と思ったが出来なかった。


 茜の初々しさに大人の勝手な事情を押し付けることは出来なかった。



「茜、手を洗っておいで。洗面所は君の部屋の斜め前のドアだ。」

「は~い」



 まるで子供のように返事をして洗面所へ行く茜に優也は思いっきり大きな溜め息を吐いた。


 茜の姿を追うように視線を送ると優也は笑みを浮かべながらお皿を取り出した。


「女の子って、どれくらいのお皿なんだろう?」


 昼間もあまり食べていなかったのを考え大皿が良いのだろうかと大きめの皿と少し小さめのお皿を出して並べるとジっーと眺めて悩んでいた。


 そこへ茜が戻ってくると優也はどっちの皿が良いのかを聞いた。



「そんなに食べれないよ。」

「じゃあ、これ?」

「うん、それかな。」

「茜は座ってて。」


 優也の言葉に茜は素直に椅子に座るとキッチンにいる優也を見ていた。


 ほとんど夕飯を準備する父親とその娘の光景のようだ。