茜は一応の成り行きは聞いたものの真髄ははぐらかされた気分だった。
けれど、今更詮索したことでこの結婚を変えることはできないのだからと半ば諦めかけていた。
「夕飯まで部屋の片付けをするといいよ。荷物の確認もあるだろう?足りないものがないかもチェックしておいで。」
「わかったわ」
「夕飯になったら声をかけるから。」
優しく微笑む優也は本当に「優しい夫」を演じているのだろうと感じるが、どこか他所他所しいのは初めて会ったから?
一緒に住めばきっと打ち解け合うものだろうと思った茜は深く考えるのはやめて、今日からの新しい生活に慣れることを考えようと思った。
茜は自分は冷静なものと思っていたが、自室へ入るなり急に緊張の糸が切れたのか、体が重々しくなり疲れが押し寄せてきた。
ベッドへダイブするとフワフワ布団が気持ちよくてそのまま眠りそうになった。
そして、ハッと気づいた茜は飛び起きるとベッドの上で正座してしまった。
ーー今夜はここで初夜を迎えるの?! それとも、あの人の部屋で?!
新婚生活が始まったと言うことはそう言うことだと茜の頭の中はパニックを通り越して真っ青な顔になっていた。
ーー知らない人といきなり今夜からエッチするの?!