車を走らせた優也は自分のマンションへと向かった。
マンションに到着すると一社員にしては高級感のある建物に住んでいる優也に不信感が生まれてしまう茜だった。
「優也さんについて私は何も知らないんですけど、教えてくれませんか?」
「詳しい話は部屋でしよう。とにかく車から降りておいで。」
再び優しい笑顔の優也に変わっていた。茜はこの優也の優しさが偽りだと思うのにそれでも本物の笑顔のように見えてしまう。頭の中が混乱するばかりで茜は戸惑いの連続だ。
優也に部屋を案内された茜は驚くべき部屋へと連れて行かれた。何故、高級そうなマンションの最上階のワンフロアを優也が所有できるのかますます茜はこの結婚の意味を考えてしまった。
玄関はマンションとは思えない広さで、玄関正面に見えるドアを開くとそこはパノラマな窓が広がる素晴らしい景色が目に入るリビングとなっていた。個人の所有するマンションとは思えない窓の大きさに茜は開いた口が塞がらなかった。
そして、優也に説明されなくとも勝手に窓へと近づき外の景色を見ていた。
「気に入ってくれたようだね」
「素晴らしい眺めだわ」
「ここは俺達の新居に会長が用意して下さったんだ。」
やはりそうなのだと茜は納得してしまった。平社員の優也にこんなマンションを購入できる力があるはずがないと思っていたのだ。