「だって、運転席は俊彦でしょー? で、助手席はパパが座るから」
「パパって誰」
「ひどっ!」
両手で顔を覆う父親にうんざりする。
こいつはどうして、こんなリアクションしか出来ないんだろう。
「っていうか、絶対嫌だ。荷台とか暑いし」
「男三人であそこに乗るのも、かなりむさ苦しいと思うよー」
「お前が荷台乗ったらいいだろ」
「やだよ!」
「俺だって嫌だし」
「えー……、じゃーんけーんぽん」
急に言われて、咄嗟に出したのはグー。
父親はというと、パーを出していて。
「はい、柊が荷台ね」
「卑怯……」
「柊ってじゃんけん弱いよねー」
「うざ」
「二人とも、さっさと乗れよ」
俊彦に再度促されて、仕方なく荷台に乗ろうとしたときだった。
「ちょっと待って!」
後ろから聞こえた大声。
聞き慣れたこの声は、達郎だろう。
ゆっくりと振り返ってみる。
「……うわ」
目に映った光景に、絶句した。