「荷物全部積んだかー?」
「うん」
最後のひとつを軽トラの荷台に積んで、俊彦に頷く。
チュンチュン、とスズメの鳴き声が辺りに響いている。
「忘れ物は?」
「ないと思う」
「あったら着払いで送ってよー」
「言われんでも、そうするわ」
荷物の大半は、向こうに直接送ることになっているから、荷台に積んだものは少なかった。
「……よし、行くか」
電車の出発時間に間に合わないから、と。そう言って、俺と父親を促す俊彦。
森ヶ山線に乗って、その終点で本線に乗り換えて、そこから新幹線で東京に帰ることになっている。俊彦は駅まで送ってくれるらしい。
何となく名残惜しいけど、間に合わないのはさすがに駄目だろう。
促されるままに、助手席に乗り込もうとすれば。
「ちょっとちょっと、柊!」
「なに」
「柊は荷台だよ」
「……はあ?」
突然そんなことを言い出した父親に、眉根を寄せる。