よくよく考えてみれば、他人とこんなに仲良くなれたのは、初めてかもしれない。
向こうにいた頃、友達はいたけど、それも上辺だけだったような気がする。
休みの日に遊ぶことはあっても、今みたいに毎日会うようなこともなかった。
みんなそれぞれ塾に行っていたし、放課後も部活があったし。
ずっと一緒にいた友達なんて、思い付かない。
この町に来るまで、それは普通のことだったのに。
「……寂しいな」
達郎の小さな呟きに、そっと目を開けた。
寂しい。
寂しくないはずがない、と。
そう言ったところで、何が変わるわけでもなく。
ただ寂しさが募るだけだと思って、口を閉じたままでいた。