「柊はりんごかぶどうか、どっちがいい?」
「達郎は?」
「んー……、りんごがいいけど……」
「じゃあ、それでいいよ」
そう言って頷けば、達郎はありがとうと呟きながら、由香からその半分を受け取った。
「柊、はいどーぞ」
「どうも」
みどりから紫色の半分を受け取る。
手に持っているだけでも、ひんやりと冷たい。
一口食べるとぶどうの味がして、もっと冷たかった。
「ところでさー」
ちゅう、と白に近い色のチューペットをくわえながら呟いた達郎。
顔を向けたら、ちょうど目が合って。
「……明日、何時に行くん?」
多分、だけど。
みどりも由香も達郎も、その話題を意図的に避けていたように思う。
ちりん、と風鈴の音がやけに大きく聞こえた。