意味が分からない。空気を読んだ、ってどういうことだろう。

首を傾げていると、またもやデコピンが飛んできた。


「何故にまたデコピン!?」


ますます意味が分からなくて、柊を見上げると、大きな溜め息を吐かれた。


「あれ、見てみ」

「お?」


柊が指差した先を辿る。


「……あ」

「分かった?」


大きく頷く。

なるほど、そういうことか。


「そんなことまで考えとらんだわー」

「だと思った」


柊はそう言ってまた鼻で笑う。むかついたけど、ここは寛大な心で無視しておこう。


柊の指差した先にいたのは、たっくんと由香。

どうやら柊は、二人っきりにしたかったらしい。


「つーか、三人で残されたら、俺が邪魔者になるし」

「ほー」


よくそんなに頭が働くな、と思っていると、いつの間にか水道に着いた。両手に持っていた空っぽのジョウロを、他のジョウロが並べてあるのと一緒に置く。

柊は欠伸をして、校舎の陰に座り込んだ。