突然、本当に突然。

桃花は肩より長いくらいの自分の髪を口元に運び、ムシャムシャとしゃぶり出した。

「お、おい?どうしたんだよ?」

「桃花?しっかりして!」

みんなが声をかけても反応が無い。

ただひたすら、自分の髪をしゃぶり続けている。

虚ろな目で。

まるで魂を抜かれたような、眼球はあるのに空洞のような眼差しで。