昼休みを終えるチャイムが鳴り響く。

のそのそと廊下を歩くあたしの横を他の生徒たちが追い越していく。

その背中がどんどん遠のいていく。

体がズッシリと重たい。

ふと、このままどこかへ逃げてしまいたいという衝動に駆られた。

学校を抜け出し、電車に乗って知らない街まで行ってみようか。

あたしがイジメられていることを誰も知らない場所へ。

新しい場所で新しい人生をスタートさせたい。

「……そんなことできるわけないよ」

もうそんな甘いことを言っていられる年齢ではない。

17歳。大人と子供の中間。

後先考えずに行動するにはもう大人すぎた。

現実は残酷だ。

両親もおらず、古い平屋建てのボロ屋に叔母と一緒に暮らしているあたし。

これ以上叔母に面倒をかけるなんてできるはずがなかった。

あたしの居場所はここにしかない。

――ここにしかないんだ。