「ん?俺の顔なんかついてる?」



急に美波來春はこっちを向いた。


私、いつの間にか美波來春のことガン見してた…!?



「う、ううん!何もないよ!」


「そう?」


「うん!さ、絵描かなきゃね!」



何とか誤魔化して、彼の貸してくれた画用紙の方に顔を向ける。


描こうと言ったものの…何描こうか。


急に描く物なんて見つからない。


隣の彼をチラ見すると、もう何かを描き始めていた。


そのことに焦りを感じた私は、なんとか想像の絵を描くことにした。



仲のいい人で固まって描いている人が多いため、美術室は少しガヤガヤしていた。


私も誰か誘えばよかった…


何となく私たちの周りの無言の空間が気まづくて、美波來春に話しかけてみよう!と意気込んで彼の方を向いた。